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性感染症とは
性感染症とは、性行為やそれに類似した行為から感染する病気です。
かつては、梅毒、淋病、軟性下疳、鼠蹊リンパ肉芽腫が4大性病といわれていました。
しかし、性風俗の変化に伴い、70年代に入ると性行為に関連して感染する病気が非常に増えてきました。これらの病気を「性感染症」と総称するようになったのです。
今では、エイズをはじめ、クラミジア、性器ヘルペス、トリコモナス、さらにB型ウイルス性肝炎から毛ジラミまで極めて多様な病気が性感染症の中に入っています。
性感染症は決して特殊な病気ではなく、むしろ極めて身近な病気であるということを知っておいてください。とくに、日本では性感染症は増加傾向にあります。
つまり、何気なく行なった無防備なセックスが、のちに取り返しのつかない結果を生むこともあるのです。
エイズの場合、幸い最近では発症を防ぐ薬も開発されていますが、それでも常に死の恐怖に付きまとわれ、エイズウイルスを抱えたまま生活しなければならないことに変わりはありません。
性感染症は、たった一度の性交渉でも感染する危険性があります。
わずかな心のゆるみや無関心、性感染症に対する無知が、一生を左右してしまうこともありうるのです。
とくに、若い人には十分にこうした危険性を認識してほしいものです。
そして、性感染症は一般に男性から女性の方に感染しやすい傾向があり、また重症化するものが多いことも覚えておいて下さい。
性感染症は、治療ももちろん大事ですが、一番重要なことは感染を防ぐことです。
その方法が、性器の直接の接触を防ぐコンドームです。性感染症は濃厚な粘膜の接触から感染するので、必ず最初からコンドームを装着して最後まではずさないことが大事です。
ここで、注意してほしいのは避妊と性感染症の予防とは、意味が異なるということです。
コンドームは、避妊具として知られています。そのため、男性が射精する時だけ装着していればいいと思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、性感染症の防御のためには、射精の時だけでなく、性器の直接的な接触を防ぐことが大事なのです。
また、性器と口の接触、性器と肛門の接触によっても、性感染症は感染します。
いわゆるオーラルセックスやアナルセックスなどでも感染するのです。
したがって、コンドームは最初から装着すること、ピルなどほかの避妊法では性感染症の防御には全く意味がないことも覚えておきましょう。
若い女性の場合、日本ではとくに男性に避妊などの処置をまかせがちです。
しかし、恥ずかしいからなどと言っている場合ではないのです。
女性もコンドームを持ち、自分からもコンドームの装着を促しましょう。
それが、現代のスマートなセックスのあり方なのです。
若い時の気まぐれなセックスに、あとあと苦しめられることがないように、ぜひこのことを覚えておいてください。
そして、性感染症に感染すると局部の防衛力が低下して、エイズにも感染しやすくなることもわかっています。
淋病
淋菌の感染が原因です。
この菌は感染力が強く、感染者とセックスをすると簡単にうつってしまいます。
男性の場合は、感染して3日ぐらいで排尿する時に激しい痛みが現れ、尿の出口からウミが出たり、ペニスの先が赤くなります。
これは、淋菌が尿道で炎症を起こすためです。
放置すると炎症が広がり、副睾丸炎を起こします。
これは不妊症の原因にもなる病気です。
しかし、男性は症状が激しいので、初期に感染に気付きやすいともいえます。
これに対して、女性はほとんど症状がありません。
やはり、尿道や腟に感染するのですが、おりものが増加する程度で男性ほどはっきりした症状がないことが多いのです。
しかし、これを放置するとやがて子宮や卵管、卵巣などに炎症が広がり、強い下腹部の痛みや発熱が起こります。
こうした女性生殖器の炎症が不妊症につながることも少なくないのです。
症状が少ないだけに予防が大切です。
治療には抗生物質が使われますが、いかに早く発見し、炎症が広がらないうちに治すかが問題です。
性器クラミジア感染症
性感染症の中で世界的に大流行し、日本でも感染者が一番多いのがクラミジアです。
一般の女性でも15~19歳では4.3%、20~24歳では6.4%の人が気付かない間にクラミジアに感染しています。
日本全体では、感染者は95万6千人にものぼると推定されています。
クラミジア感染症は、感染してから症状が現れるまでの時間が長く、かつほとんどはっきりした症状がないのが特徴です。
感染してから症状が現れるまでは、8~14日ほどかかり、長い場合は15日以上かかることもあります。
それだけ、性行為と関連して考えることが難しいわけで、この間にほかの人に感染させる危険性も大きいわけです。
また、症状も男性の場合、尿道の不快感やムズムズ感、軽い痛みやかゆみ程度のことがほとんどです。
女性の場合は、子宮頸部に炎症が起こりますが、ほとんど症状がありません。
そして気付かないまま炎症が奥に広がり、卵管炎などを起こして不妊症になるケースも多いのです。
妊婦が感染した場合には、赤ちゃんに結膜炎や肺炎を起こすこともあります。
治療にはやはり抗生物質が使われます。
性器ヘルペス
これも、最近女性に多く、赤ちゃんに新生児ヘルペスを起こすことで問題になっている病気です。
ヘルペス自体はよくあるウイルスで、水疱瘡などを起こすウイルスです。
しかし、ヘルペスウイルスにも種類があり、セックスによって単純ヘルペスウイルスに感染すると、性器ヘルペスを起こします。
このウイルスは一度感染すると、神経の中にすみついてしまい、何かのきっかけで再発を繰り返すのが特徴です。
1. 最初の感染
セックスによって感染後、3日~1週間ぐらい後で外陰部に痛みが起こります。
この痛みは強烈で歩くことも排尿もできなくなり、入院する人もあるほどです。
外陰部には水膨れや皮膚のただれが起こり、37~39度くらいの熱が出ることもあります。
足の付け根のリンパ節が腫れて痛みが出ます。
2. 再発
この時は、最初ほど激しい症状は現れません。
感染した局所に水疱やただれが起こり、リンパ節が腫れることもあります。
しかし、症状は1週間ほどで治まるのが普通です。
疲れや月経、セックスによる刺激などが再発の誘因になるともいわれていますが、人によって再発の頻度は異なり、年に一度再発するという人もいれば、毎月のように再発する人もいます。
また、妊娠や抗がん薬による免疫の低下などを引き金に、症状が起こることもあります。
3. 新生児ヘルペス
赤ちゃんが生まれる時に、母体から赤ちゃんにヘルペスウイルスが感染することで起こります。
この病気は非常に死亡率が高いので、帝王切開による出産も必要になります。
性器ヘルペスの治療は、アシクロビルといわれる薬が中心になります。
しかし、この薬で神経の中にすみついたウイルスを駆除することはできません。
つまり、症状を抑えることはできても、再発まで抑えることはできないのです。
したがって、この病気も予防が一番大切ということになります。
ただ、再発は感染から時間がたつほど減少するといわれています。
エイズ
エイズは、HIVというウイルスの感染によって起こる病気です。発見当初は、男性同性愛者の病気といわれ、日本では血液製剤による感染者が多数を占めました。
しかし、現在ではごくふつうの性感染症、つまりセックスによって感染する病気であることがはっきりしています。
日本でも男女間のセックスによる感染が同性愛者間の感染より多くなっています。
エイズの場合、感染した当初、発熱、筋肉痛、のどの痛みなど風邪と似た症状が出ることがありますが、ほとんどの場合気付かないまま放置されています。
この症状は1週間ほどで消え、このあとウイルスに対する抗体が陽性になります。
抗体ができるまでには、人によって2週間から3カ月かかります。
抗体検査でエイズ感染がわかるのは、抗体が陽性になってからです。
ですから、原因となる可能性のあるセックスをしてすぐに病院で検査を受けても、わからないのです。これを「ウインドウ・ピリオド」と呼びます。
しかし、最近は直接血液中のウイルスの量を測定することが可能になっています。
そして、その量から発症の時期を予測することも可能になっています。
感染したHIVウイルスは、体を病気から守る免疫で働く細胞を破壊しながら増殖していきます。
その結果、免疫が低下してさまざまな病気に感染し、かつ重症になっていくのです。
これまでは、感染後10年の間にほとんどの人がエイズを発症し、発症後1年以内に死亡するというのが定説でした。
しかし、現在は3種類の薬(逆転写酵素阻害薬2種類とプロテアーゼ阻害薬)を飲み続けることで、ウイルスの量を減らし、発症を防ぐことができるようになりました。
といっても、高額の薬をずっと飲み続けないと、ウイルスの増殖が再び始まります。
したがって、早期に感染を発見し、薬でエイズの発症を予防し続けるというのが現在の治療法です。
これによって、死亡者はかなり減少するものとみられています。
しかし、エイズもコンドームをきちんと装着すれば予防の可能な病気です。
そして、感染の危険を感じたら、必ず病院で検査を受けましょう。
病院では、プライバシーが守られるように配慮されていますから、安心して受診しましょう。
梅毒
トレポネーマ・パリダムという病原体の感染によって起こります。
梅毒は、感染からの期間によって4期に分類され、その時期によって現れる症状にも違いがあります。
感染から3カ月までの間が1期です。感染3週目ぐらいには、感染した部分に硬いしこりができます。
ふつうは1個ですが、最近はフェラチオなどで男性性器が傷つき、そこからトレポネーマが侵入するケースも増えてきました。
この場合、傷口が病原体の侵入口になるので、2個、3個としこりができることもあります。
また、女性の側は唇やのどにしこりができることもあります。
しこりは、痛みなどの症状はなく、自然に消えていきます。
しかし、これで治ったわけではないのです。
2期(感染後3カ月から3年)に入ると、全身に薄いピンクの斑点(バラ疹)や赤いブツブツ(梅毒性丘疹)が現れ、手足の裏側には赤銅色のカサカサした斑点が現れます。
かゆみや痛みなどはありませんが、この時点で今は、ほとんどの人が病院を受診しています。
放置して3期、4期になると鼻に穴が開いたり、神経を侵されて痴ほうになることもあります。
最近では、ここまで進んだ梅毒はほとんどないようです。
幸い、治療にはペニシリンがよく効きます。
2期までの間に治療を受ければ、問題なく治ります。